第三章 摂理歴史の各時代とその年数の形成

第一節 理的同時性の時代

第二節 復基台理時代の代とその年の形成

第三節 復帰摂理時代を形成する各時代とその年

第四節 復帰摂理延長時代を形成する各時代とその年

 

第一節 理的同時性の時代

 

同時性とは、何であろうか。人類史の過程を調べてみれば、たとえその程度と範の差はあっても、過去のある時代に起こったこととほとんど同じ型の史過程が、その後の時代において反復されている、という事が、多く見されるのである。史家たちは、このような史的現象を見て、史の路程は、ある同型の螺旋上を回しているといっているが、その原因がどこにあるかは全然知らないのである。このように、ある時代がその前の時代の史路程とほとんど同じ相をもって反復されるとき、そのような時代を理的同時性の時代というのである。このような同時性の時代を、理的同時性の時代と呼ぶ理由については、のちに、もっと詳しく明するが、この現象は本、神の蕩減復帰摂理に起因して生ずるものなのである。
それでは、理的同時性の時代は、どうして生ずるのだろうか。我は、復帰摂理の目的を成し遂げていく過程においてなされたすべての事が、史を形成してきたということをよく知っている。けれども、復帰摂理の目的を達成するために、「メシヤのための基台」を復する理路程を担していたある中心人物が、自分の責任分担を果たさなかったときには、その人物を中心とした理の一時代は終わってしまうのである。しかし、そのみ旨にする神の予定は絶的であるので(前編第六章)、神は他の人物をその代わりに立たせ、「メシヤのための基台」を蕩減復するための新しい時代を、再び理なさるのである。したがって、この新しい時代は、その前の時代の史路程を蕩減復する時代となるので、再び、同じ路程の史を反復するようになり、理的な同時性の時代が形成されるのである。
しかるに、復帰摂理を担した人物たちは、その前の時代の的な蕩減件を、的に一時に蕩減復しなければならないので、復帰摂理が延長され、的な蕩減件が付加されるにつれて、的に立てられるべき蕩減件も、次第に加重されるのである。したがって、同時性の時代も、漸次、その容と範を異にするようになる。同時性の時代の形態が、完全な相似形をつくることができない理由は、ここにあるのである。
また、成長期間の三段階を、その型に分類してみれば、蘇生は象型、長成は形象型、完成は体型として分けられるので、復帰摂理路程において、このような型を同時性として反復してきた時代も、これまた、このような型の史を再現させてきたのである。すなわち、帰摂史の全期間を、型を中心として同時性の点から分けてみれば、復基台理時代は象的同時性の時代であり、復帰摂理時代は形象的同時性の時代であり、復帰摂理延長時代は体的同時性の時代である。
また、は、同時性の時代を形成する原因が何であるかを知らなければならない。このように、同時性の時代が反復される理由は、「メシヤのための基台」を復しようとする理が、反復されるからである。したがって、同時性の時代を形成する原因は、第一に、「信仰基台」を復するための三つの件、すなわち、中心人物と、件物と、理的な期間などである。第二は、「体基台」を復するための「落性をぐための蕩減件」である。
このような要因でつくられる理的同時性の時代には、次のような二つの性格がある。第一には、「信仰基台」を復するための理的蕩減期間である代とか、あるいは、年を要因とする理的同時性が形成されるのである。帰摂史は、その理を担した中心人物たちが責任分担を完遂できなかったために、そのみ旨が延長されるにつれて、失われた「信仰基台」をあくまでも反復して蕩減復してこられた史であったのである。ここにおいて、必然的に理的な信仰の期間を蕩減復する理もまた反復されるので、結局、理的同時性の時代は、ある年とかあるいは代の反復というかたちで、同じ型が重ねて形成されてきたのである。本章の目的は、すなわち、このことにする問題を取り扱うことにある。
第二には、「信仰基台」を復する中心人物と、その件物、そして「体基台」を復するための「落性をぐための蕩減件」などの理的な史を要因として、同時性が形成されるのである。帰摂理の目的は、結局、「メシヤのための基台」を復するところにあるので、その理が延長されるにつれて、この基台を復なさろうとする理も反復される。そこで、「メシヤのための基台」は、まず、「象徴献祭」で「信仰基台」を復し、次に「祭」で、「体基台」を復して、初めてそれが立てられるのである。
したがって、帰摂理の史は、「象徴献祭」と「祭」とを復させようとする理を反復してきたので、理的同時性の時代は、結局、この二つの祭を復させようとして運ばれた理的な史を中心として形成されてきたのである。これにする問題は、次の章で詳しく論ずることにしよう。

 

第二節 基台理時代の代とその年の形成

(一)復帰摂理はなぜ延長されまたいかに延長されるか
(二)的な蕩減件と的な蕩減復
(三)からなる的な蕩減復
(四)信仰基台を復するための理的な蕩減期間
(五)代を中心とする同時性の時代
(六)からなる的蕩減復帰摂理時代

 

(一)復帰摂理はなぜ延長されまたいかに延長されるか
は、に、「メシヤのための基台」をつくり、メシヤを迎えて、復帰摂理の目的を完成させようとする理が、アダムからノア、アブラハム、モセに至り、イエスの時代まで延長されたこと、また、ユダヤ人たちの不信仰により、イエスもこの目的を完全に達成されずに亡くなられたので、復帰摂理は、更に、彼の再臨期まで延長されてきたという事を論述した。それでは、帰摂理はなぜ延長されるのだろうか。これは予定論によってのみ解決される問題である。予定論によれば、神のみ旨は、絶的なものとして予定され、理なさるので、一度立てられたみ旨は必ず成就されるのである。しかし、ある人物を中心とするみ旨成就の可否は、どこまでも相的であって、それは神の責任分担とその人物の責任分担とが一体となって初めて成就されるのである。したがって、そのみ旨成就の使命を担した人物が、責任分担を全部果たさないために、そのみ旨が達成されないときには、時代をえて他の人物をその代わりに立てても、必ず、そのみ旨を成就する理をなさるのである。このようにして復帰摂理は延長されていくのである。
また、我は、復帰摂理がどのようにして延長されるかを知らなければならない。創造原理によれば、神は三的存在であられるので、神に似たすべての被造物は、その存在相や、運動や、またその成長過程など、すべてが三過程を通じて現れる。ゆえに、四位基台を造成し、円形運動をして創造目的を成し遂げるにたっても、正分合の三段階の作用により、三象目的を達成して三点を通過しなければならないのである。ところが創造目的を復していく理は、み言による再創造の理であるので、この復帰摂理が延長されるときにも、創造原理により、三段階までは延長され得るのである。
アダムの家庭で、カインとアベルの「祭」が失敗したので、このみ旨は、ノアをてアブラハムまで三次にわたって延長され、アブラハムが「象徴献祭」に失敗するや、そのみ旨は、イサクをてヤコブまで延長された。また、モセやイエスを中心としたカナン復路程も、各三次まで延長されたのである。そればかりでなく、神殿建築の理想は、サウル王の過ちにより、ダビデ王、ソロモン王にまで延長され、また、最初のアダムによって達成されなかった神の創造理想は、後のアダムとしてられたイエスをて、彼の再臨期まで、三次にわたって延長されていくのである。「三度目の正直」という諺があるが、これは、このような原理を現生活の中で探しだしたものといえる。

(二)的な蕩減件と的な蕩減復
帰摂理のみ旨を担した中心人物は、自分が立たせられるまでの理路程において、自分と同じ使命を担した人物たちが、立てようとしたすべての蕩減件を、自分を中心として、一時に蕩減復しなければ、彼らの使命を承し、完遂することができないのである。したがって、このような人物が、また、その使命を完遂できなかったときには、彼が立てようとした蕩減件は、その次に彼の代理使命者としてる人物が立てなければならない蕩減件として、その人物に引き渡されるのである。このように、帰摂理路程において、その理を担した人物たちがその責任を果たせなかったことから、史的に加重されてきた件を、的な蕩減件といい、このようなすべての件を、ある特定の使命者を中心として一時に蕩減復することを、的な蕩減復というのである。
例をげれば、アブラハムがその使命を完遂するためには、アダムの家庭と、ノアの家庭が立てようとしたすべての的な蕩減件を、一時に的に蕩減復しなければならなかった。ゆえに、アブラハムが、三つの供え物を一つの祭壇に置いて、一時に祭したのは、アダムからノア、アブラハムと三段階にわたって延長されてきた的な蕩減件を、アブラハムの祭を中心として、一時に、的に蕩減復するためであったのである。したがって、その三つの供え物は、に、アダムとノアが立て損なったいろいろの件と、またアブラハムが中心となって立てようとしたすべての件を象するのである。
そうして、ヤコブは、ノアから彼自身に至るまでの十二代の的な蕩減件を、一時に、的に蕩減復する件を立てなければならなかったので、十二人の子供を立て、十二部族に殖やしていったのである。同じく、イエスもやはり、四〇〇〇史路程において、復帰摂理を担してきた多くの預言者たちがしておいた的蕩減件を、彼自身を中心として、一時に、的に蕩減復なさらなければならなかったのである。
例をげれば、イエスが、十二弟子と七十人門徒を立てられたということは、十二子息と七十人家族を中心として理されたヤコブの路程と、十二部族と七十長老を中心として理されたモセの路程などの、的な蕩減件を、イエスを中心として、一時に的に蕩減復なさるためであったのである。また、イエスが四十日食祈をされたのは、復帰摂理路程において、何回も繰り返された「信仰基台」を立てるのに必要とされる「四十日サタン分立」のすべての的な蕩減件を、イエスを中心として、一時に、的に蕩減復なさるためであったのである。このような意味から見るとき、帰摂理を担した人物は、に一個人としてだけではなく、彼に先立って、同一の使命を負ってきたすべての預言者、烈士たちの再現体であり、また、彼らの史的な結体であるということを知ることができるのである。

(三)からなる的な蕩減復
からなる的な蕩減復が何であるかを調べてみることにしよう。に、アブラハムを中心とする復帰摂理のところで詳述したが、アブラハムのときは、「メシヤのための家庭的な基台」を復するための理において、第三次に該するときであった。したがって、そのときは、必ずそのみ旨を成し遂げなければならない原理的な件のもとにあったので、アブラハムは、アダムの家庭とノアの家庭の過ちによって加重されてきたすべての的な蕩減件を、一時に、的に蕩減復しなければならなかったのである。しかし、アブラハムは、「象徴献祭」で失敗したので、その使命をその次の代に延長しなければならなくなっていた。そこで、神は、に失敗したアブラハムを、失敗しなかったと同じ立場に立たせ、また、それによって的に延長される復帰摂理も、延長されないで、的に蕩減復されたと同じ立場に立たせなければならなかったのである。神はこのような理をなさるために、に、アブラハムを中心とした復帰摂理のところで詳述したように、アブラハムとイサクとヤコブが、各その個体は互いに違うが、み旨を中心として見れば、完全な一体として、蕩減件を立てるように理されたのである。このように、アブラハムとイサク、ヤコブは、み旨から見れば、完全に一体となったので、ヤコブの成功は、すなわち、イサクの成功であり、また、アブラハムの成功でもあったのである。それゆえに、アブラハムを中心としたみ旨は、的に、イサクとヤコブに延長されたけれども、結局み旨を中心として見れば、それは延長されないで、アブラハムを中心として的に蕩減復されたのと同じ結果になったのである。
ゆ えにアブラハム、イサク、ヤコブは、み旨を中心とした側面においては、アブラハム一人のように見なければならない。したがって、そのみ旨は、アブラハム一 代において成就されたと同じ立場であったのである。出エジプト記三章6節に、神が「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」と言われたのは、この ような点から、彼ら三代は一体であるという事を立証されたといえるのである。
このように、アブラハムが、彼の「象徴献祭」の失敗により、彼自身を中心として的な蕩減件を立てられなくなったとき、的に、イサクとヤコブの三代に延長しながら立てた、的な蕩減件を、結局、アブラハムを中心として、一代で的に蕩減復したのと同じ立場に立たせたので、これを、からなる的な蕩減復というのである。

(四)信仰基台を復するための理的な蕩減期間
に、後編論で、信仰を立てる中心人物が、「信仰基台」を復するには、彼のための理的な蕩減期間を復しなければならないということを論述したが、今、この理由を調べてみることにしよう。神は理的にも存在し給う方である。ゆえに、人間を中心とする被造世界は、無形の主体であられる神の二性性相の理的な展開による象である。被造物の平面的な原理を探求する科達が、理的な究によってのみ可能であることも、ここに、その原因がある。このように創造された人間始祖は、理的な成長期間をたのちに、「信仰基台」を立てて、理的な完成体となるように創造されたのである。このような被造世界が、サタンの主管に落ちたので、これを復するためには、それを象するある件物を立てて、サタンの侵入を受けたを復する理的な蕩減期間を立てることにより、「信仰基台」を蕩減復しなければならない。
それでは、元来堕落前の人間始祖は、いかなるによる「信仰基台」を立て、いかなる理的な完成体となるべきであったのだろうか。創造原理によれば、あらゆる存在物を通じて、四位基台を造成しないで存在できるものは一つもない。したがって、未完成期にあったアダムとエバも、四位基台造成により存在したのである。この四位基台は、その各位で各成長期間の三段階をて、合計十二理的な成長期間を完成し、十二象目的をつくるようになるのである。したがって、アダムが、「信仰基台」を立てるべきであった成長期間は、すなわち、十二完成期間である。それゆえに、第一には、未完成期にあった人間始祖は、十二による「信仰基台」を立てて、十二象目的を完成することによって、十二完成体とならなければならなかったのである。しかし、彼らが落することによってこれがサタンの侵入を受けたから、復帰摂史路程において、これを蕩減復する中心人物は、十二を復する蕩減期間を立てて、「信仰基台」を蕩減復しなければ、十二完成体の復のための「体基台」を造成することができないのである。例をげれば、ノアが箱舟をつくる期間一二年、モセを中心とするカナン復帰摂理期間一二年、アブラハムが召命されたのち、ヤコブがエサウから、長子の嗣業を復できる蕩減件を立てるまでの一二年、また、この期間を蕩減復するための、約時代における統一王時代一二年と、新約時代におけるキリスト王時代一二年などは、みな、この十二を復するための蕩減期間であったのである。
また、落前の未完成期のアダムとエバは、成長期間の三段階をて、第四段階である神の直接主管圏内に入って、初めて四位基台を完成するようになっていた。したがって、彼らが「信仰基台」を立てる成長期間は、四完成期間にもなる。それゆえに、第二には、未完成期にあった人間始祖は、四による「信仰基台」を立てて、四位基台を完成し、四完成体にならなければならなかったのである。しかし、彼らが落によって、サタンの侵入を受けたので、復帰摂史路程において、これを蕩減復する中心人物は、四を復する蕩減期間を立ててから、「信仰基台」を蕩減復しなければ、四完成体の復のための「体基台」をつくることができなくなっている。
に、後編第一章第二節(一)(2)で詳しく述べたように、ノアの箱舟を中心とする審判四十日をはじめ、モセの食四十日、カナンの偵察期間四十日、イエスの食四十日、復活四十日などは、みな、この「信仰基台」を復するための四の蕩減期間であったのである。
そしてまた、成長期間は、二十一完成期間にもなる。ゆえに、第三には、未完成期にあった人間始祖は、二十一による「信仰基台」を立て、創造目的を完成し、二十一完成体とならなければならないのである。しかし、彼らが落することにより、これまた、サタンの侵入を受けたから、復帰摂史路程において、これを蕩減復する中心人物は、二十一を復する蕩減期間を立てて、「信仰基台」を蕩減復しなければ、二十一完成体の復のための「体基台」を造成することができなくなっている。
では、どうして成長期間が二十一完成期間になるのかを調べてみることにしよう。二十一の意義を知るには、まず、三と四と七する原理的な意義を知らなければならない。二性性相の中和的主体であられる神は三的存在である。そして、被造物の完成はすなわち、神と一体となり四位基台を造成することを意味するので、人 間の個体が完成されるためには、神を中心として心と体とが三位一体となり、四位基台を造成しなければならない。夫婦として完成されるためには、神を中心と して、男性と女性が三位一体となり、四位基台を造成しなければならない。また、被造世界が完成されるためには、神を中心として、人間と万物世界が三位一体 となり、四位基台をつくらなければならないのである。被造物はこのように、神を中心として一体となり、四位基台を造成するためには、成長期の三期間をて、三象目的を完成しなければならない。このような理由で、三を天の、または、完成する。
以上のように、ある主体と象とが、神を中心として合性一体化し、三位一体をつくるとき、その個性体は四位基台をつくり、東西南北の四方性を備えた被造物としての位置を決定するようになる。このような意味から、四を地のするのである。
このように、被造物が三段階の成長過程をて四位基台をつくり、時間性と空間性をもつ存在として完成されれば、天のと地のとを合わせた七完成の体になる。天地創造の全期間が、七日になっている原因もここにあったのである。そして、創造の全期間を、一つの期間として見るときには、七完成期間となるので、いかなるものでも、完成される一つの期間を七完成期間として見ることができる。それゆえに、成長期間を形成する三つの期間を、各、蘇生段階が完成される一つの期間、長成段階が完成される一つの期間、完成段階が完成される一つの期間として見れば、これらの期間もやはり、各完成期間になるので、全成長期間は、合わせて二十一の完成期間であるということが分かるのである。
「信仰基台」のための中心人物たちが立てた、二十一蕩減期間の例をげれば、ノアの洪水期間に、神が三段階の理を予示なさるために、ノアをして三回にわたって鳩を外に放たしめたが、その期間を、各、七日間にされたので、み旨から見たその全期間は、二十一日となったのである(創七4、創八10、創八12)。また、ヤコブが家庭的カナン復路程を立てるために、ハランへ行ってから、再び、カナンにってくる理の期間を立てるときにも、これまた、七年ずつ三次にわたって、二十一年を要したのである。なお、ヤコブのこの二十一年を蕩減復する期間として、約時代には、イスラエル民族のバビロン捕虜および還の期間二一年があり、新約時代には、法王捕虜および還の期間二一年があったのである。
成長期間は、これまた、四十完成期間でもある。ゆえに、第四には、落前の未完成期にあった人間始祖は、四十による「信仰基台」を立てて、創造目的を完成することにより、四十完成体とならなければならなかったのである。しかし、彼らの落により、これにサタンの侵入を受けたので、復帰摂史路程において、これを蕩減復する中心人物は、四十を復する蕩減期間を立てて、「信仰基台」を蕩減復しなければ四十完成体の復のための「体基台」を造成することができなくなっている。
それでは、いかにして成長期間が四十完成期間となるかを調べてみることにしよう。これを知るためには、まず、十する意義を知らなければならない。成長期間三段階の各期間が、再び、各三段階に分されれば、九段階になる。九の原理的根はここにある。ところが、神の無形の二性性相の理的展開により、その象に分立された被造物は、成長期間の九段階をて、第十段階である神の直接主管に入り、神と一体となるとき、初めて創造目的を完成するようになる。それゆえに、我は、十する。神が、アダム以後十代目にノアを選ばれたのは、アダムを中心として成し遂げようとされたみ旨を、ノアを中心として復させ、神の側へ再一させるための十の蕩減期間を立てさせるためであったのである。
しかるに、アダムとエバを中心とする四位基台は、その各位が、各成長期間の十段階をて、合計四十理的な成長期間を完成することによって、四十完成体基台となるのである。ゆえに成長期間は四十完成期間ともなるのである。
帰摂理の史路程において、この基台を復するために立てられた四十蕩減期間の例をげれば、ノアのとき、箱舟がアララテの山にとどまったのち、鳩を放つまでの四十日期間、モセのパロ宮中四十年、ミデヤン荒野四十年、民族的カナン復の荒野四十年などがそれである。
このように、我は、蕩減復帰摂理路程における四十は、二つの性格をもっていることが分かるようになる。一つは、落人間が四を蕩減復するとき、これにである十が、ぜられてできた四十であり、また一つは、に述べたように、落前のアダムが立てるべきであった成長期間の四十を、蕩減復するためのものである。ゆえに、民族的カナン復の荒野四十年は、モセのパロ宮中四十年と、ミデヤン荒野四十年を蕩減復する期間であると同時に、偵察四十日を、したがって、モセの食四十日を蕩減復する期間でもある。ゆえに、この四十年期間は、に論じたように、互いに性格を異にする二つの四十を、同時に蕩減復するものなのである。これは、復帰摂理路程において、「信仰基台」を立てる中心人物が、的な蕩減件を、みな同時に的に蕩減復するときに起こる現象である。そして、この四十を蕩減復する理が延長されるときには、それが十段階原則による蕩減期間を通過しなければならないので、四十は十倍による倍加原則にって、四〇〇数、または、四〇〇〇数に延長されるのである。この原則に相する例をげれば、ノアからアブラハムまでの四〇〇年、エジプト苦役四〇〇年、アダムからイエスまでの四〇〇〇年などがそれである。
は、上述のことから、復帰摂理の中心人物が「信仰基台」を復するためには、いかなる理的な蕩減期間を立てなければならないかを合してみることにしよう。元、人間始祖が落しないで、十二、四、二十一、四十などによる「信仰基台」を立てて、創造目的を完成し、このようなの完成体にならなければならなかったのである。しかし、彼らの落によりこれらすべてのものが、サタンの侵入を受けたので、復帰摂史路程において、これらを蕩減復する中心人物は、十二、四、二十一、四十などを復する理的な蕩減期間を立てなければ、「信仰基台」を復して、このようなの完成体復のために必要な「体基台」は造成することができなくなっているのである。

(五)代を中心とする同時性の時代
神はアダムより十代、一六〇〇年目にノアを選ばれ、「信仰基台」を復するための中心人物を立たせられた。は、ここで、一六〇〇年と十代は、いかなるを復する蕩減期間としての意義をもつかを調べてみることにしよう。
は前の項で、十であることと、成長期間はこの十完成期間でもあるということを述べた。ゆえに、人間始祖はこの十完成期間を、自分自身の責任分担遂行によって通過し、十完成体とならなければならなかったのである。しかし、彼らの落によりこれらのすべてのものは、サタンの侵入を受けたので、これらを蕩減復するための中心人物を探し立てて、神の側に再一させる十完成体の復帰摂理をなさるためには、その中心人物をして、十を復する蕩減期間を立てさせなければならない。神はこのような十の蕩減期間を立たせるために、アダムから十代目にノアを召命なさり、復帰摂理の中心人物に立たせられたのである。
はまた、人間始祖が四十完成の成長期間をみな通過しない限り、四十完成体になれないということもに論述した。ところが、落人間は蕩減復のための四位基台をつくり、アダムが落せずに立てるべきであった四十を復する蕩減期間を立てなければ、四十完成体の復のための中心人物とはなれないのである。したがって、四位基台の各位が四十を復する蕩減期間を立てなければならないので、それらを合わせると一六〇数を復する蕩減期間とならざるを得ない。そして、これをとして、それを十代にわたって立てなければならないので、これらを合わせて一六〇〇数を復する蕩減期間とならざるを得ないのである。神がアダムから十代と一六〇〇年目にノアを選ばれたのは、落人間が正にこのような一六〇〇数を復する蕩減期間を立てなければならなかったからである。
神は、ノアの家庭を中心とする復帰摂理に失敗されたのち、十代と四〇〇年目に、更にアブラハムを選ばれ、復帰摂理の中心人物に立たせられたのである。したがって、ノアからアブラハムまでの時代は、アダムからノアまでの時代を、代を中心として蕩減復する同時性の時代であった。
この時代がどうして四〇〇年になったかということについては、に、後編第一章第三節(一)(1)で論述した。神が、ノアをして四十日審判期間を立てるようにされたのは、十代と一六〇〇年による理的な蕩減復の全目的を成就なさるためであったのである。ところが、ハムの過ちによりこの四十日審判期間が、再びサタンの侵入を受けたので、神は復帰摂理を担した中心人物をして、また、これを復する蕩減期間を立てるようになさらなければならなかったのである。しかし、神はアダム以後各代ごとに、一六〇数を復するための蕩減期間を立てる理をされて、これをノアのときまで十代の間けてこられたように、それと同時性の時代であるノアからアブラハムに至るまでの十代も、各代ごとに審判四十を復する蕩減期間として、立てていかなければならなかったのである。
しかるに、一代の蕩減期間を四十日として立てることはできないので、イスラエル民族が、偵察四十日の失敗を荒野流浪四十年期間でもって蕩減復したように(民一四34)、蕩減法則により、審判四十日の失敗を、四十年期間として蕩減なさるため、神は四十年を一代の蕩減期間として立てるようにされたのである。このように、一代を四十年蕩減期間として立たせる理が、十代にわたるようになったので、その全蕩減期間は四〇〇年を要するものとならざるを得なかったのである。

(六)からなる的蕩減復帰摂理時代
上記でに明らかにしたように、復帰摂理を担した中心人物は、的な蕩減件をみな的に蕩減復しなければならないので、史が延長されるにつれて、復帰摂理を担する後代の人物が立てるべき的な蕩減件は、次第に加重されるのである。ところが、アダム家庭を中心とする復帰摂理においては、これは復帰摂理を最初に始めたときであったので、的な蕩減件はいまだなかったのである。したがって、アダムの家庭を中心とした復帰摂理においては、カインとアベルが、「象徴献祭」をささげることと、カインがアベルに順に屈伏して、「落性をぐための蕩減件」を立てて、「祭」をささげることによって、簡に「メシヤのための基台」を造成することができたのである。したがって、「信仰基台」を復するための理的蕩減期間も、彼らが象体の二つの祭をささげる期間でもって、蕩減復することができたのである。ゆえに、アダム以後の信仰を立てる中心人物たちが、「信仰基台」を復するために、に論述したような、十二、四、二十一、四十などの各を復する理的な蕩減期間を立てなければならなくなったのは、アダムの家庭の祭失敗により、復帰摂理の期間が延長されるにって、その理的な蕩減期間が的な蕩減件としてされたからである。したがって、ノアはその蕩減件を的に蕩減復すべき立場であったので、彼は、「信仰基台」を復するための理的な蕩減期間として、箱舟をつくる期間一二年、洪水審判期間四十日、鳩を三次にわたって放つために立てられた七日ずつの三次にわたる、合わせて二十一日期間(創七4、創八10、創八12)、箱舟がアララテの山にとどまったのち、鳩を放つまでの四十日期間などを立てなければならなかったのである(創八6)。
ハムの失敗により、ノアが立てたこれらの理的な蕩減期間は、再びサタンの侵入を受けるようになって、それらは、更に的な蕩減件としてるようになった。ゆえに、アブラハムはその期間を再び「象徴献祭」で、一時に、的に蕩減復しなければならなくなったのである。しかし、アブラハムも、やはり「象徴献祭」で失敗したので、それらの期間を蕩減復することができなかった。それゆえに、これらの期間を更に、からなる的蕩減期間として復するため、み旨成就を、イサクとヤコブへと延長させながら、十二、四、二十一、四十の各に該する蕩減期間を、再び、探し立てなければならなかったのである。
アブラハムを中心とする復帰摂理において、彼がハランから出したのち、ヤコブがパンとレンズ豆のあつもので、エサウから長子の嗣業を得るまでの一二年、そのときからヤコブがイサクから長子の嗣業を受けぐ祝福を受けて、ハランへ行く途中、神の祝福を受けるまで(創二八1014)の四十年、また、そのときからハランにおける苦役を終えて、妻子と財物を得てカナンへってくるまでの二十一年(創三一41)、ヤコブがカナンにったのち、られていったヨセフを訪ねて、エジプトへ入るまでの四十年などは、みな「信仰基台」を復するためのからなる的蕩減期間である。このようにして、からなる的蕩減復期間の年が決定されていったのである。

 

第三節 帰摂理時代を形成する各時代とその年

(一)エジプト苦役時代四〇〇
(二)士師時代四〇〇
(三)統一王時代一二
(四)南北王朝分立時代四〇〇
(五)ユダヤ民族捕虜および還時代二一
(六)メシヤ降臨準備時代四〇〇

 

帰摂理時代は、象的同時性の時代である復基台理時代を、形象的な同時性で蕩減復する時代である。今、この時代を形成した各時代と、その年がどのようなかたちで成り立ったかを調べてみることにしよう。

(一)エジプト苦役時代四〇〇
ノアは審判四十日の「サタン分立基台」の上で、「信仰基台」をつくったのであるが、ハムの失敗により、それが失われたので、神は再びアブラハムを、彼と同じ立場に立たせるため、四〇〇年を蕩減復した基台の上に、彼をして「象徴献祭」をささげるように命ぜられたのである。しかし、アブラハムの祭失敗により、その基台は、更にサタンの侵入を受けたのである。ここに及んで、神は、サタンに奪われたその四〇〇年の基台を再び立てるため、イスラエル民族をして、サタンを再分立するエジプト苦役期間四〇〇年間をましめ給うたのである(創一五13)。この時代を、エジプト苦役時代とする(後編第一章第三節)。この時代は、象的な同時性の時代のうち、アダムからノアまでの一六〇〇年を、形象的な同時性として蕩減復する時代であった。

(二)士師時代四〇〇
列王紀上六章1節に、「イスラエルの人がエジプトの地を出て後四百八十年、ソロモンがイスラエルの王となって第四年のジフの月すなわち二月に、ソロモンは主のために宮を建てることを始めた」と言われたみ言がある。これは、サウル王の在位四十年と、ダビデ王の在位四十年をたのち、ソロモン王在位四年をたときが、ちょうど、イスラエルの子孫がエジプトの地を出てから四八年目にたるということであり、したがって、イスラエル民族が、エジプトからカナンの地にってきたのち、サウル王が即位するまでは、約四〇〇年の期間であったことが分かるのである。この期間を士師時代とする。
セを中心としたイスラエル民族は、ノアから四〇〇年の「サタン分立基台」の上に立たされたアブラハムの立場を、民族的に復するため、エジプト苦役四〇〇年の「サタン分立基台」の上に立たなければならなかったのである。しかし、セの代理であるヨシュアを中心として、カナンの地にってきたのち、またもやイスラエルの不信により、この基台は、再び、サタンの侵入を受けたのである。その結果、イスラエル民族には、サタンに奪われたこのエジプト苦役の四〇〇年の基台を、再び蕩減復するための、サタン再分立期間がなければならなかったのである。このような期間として再び立たせられたのが、イスラエル民族が、エジプトからカナンの地にってきたそのあとからサウル王が即位するまでの、士師時代四〇〇年である。
そして、この時代は、象的な同時性の時代のうち、ノアからアブラハムまでの四〇〇年を形象的な同時性として蕩減復する時代であった。

(三)統一王時代一二
基台理時代を蕩減復するために、復帰摂理時代がるようになったので、この理路程を出したアブラハムはアダムの立場であり、モセはノアの立場で、サウル王はアブラハムの立場であったのである。なぜなら、アブラハムは、復基台理時代の終結者であると同時に、復帰摂理時代の出者であったからである。ゆえに、アブラハムは「メシヤのための家庭的な基台」を立てたのち、その基台の上で、「メシヤのための民族的な基台」を立てなければならなかった。そして、アブラハムのときは、神が「メシヤのための家庭的な基台」を成し遂げるにたって、その三回目にたっていたので、そのときには、それを必ず達成しなければならなかったように、「メシヤのための民族的な基台」を成し遂げようとされた理も、これまたサウル王のときが、その三回目にたっていたので、そのときには必ずそれを成し遂げなければならなかったのである。
ところで、アブラハムは、ノアのときに立てられた「信仰基台」を復するための理的な蕩減期間である一二年、四十日、二十一日、四十日などを、「象徴献祭」を中心として的に蕩減復させようとしたが、失敗して、この目的は完成されなかった。ここで、アブラハムは、これらをからなる的な蕩減期間として復するため、一二年、四十年、二十一年、四十年を立てたのである。これと同に、アブラハムの立場を民族的に蕩減復したサウル王も、やはり、アブラハムと同に、モセのときの「信仰基台」を復するための理的な蕩減期間である一二年(モセの四十年ずつの三次の生涯)、四十日(食期間)、二十一日(第一次民族的カナン復期間)、四十年(民族的カナン復の荒野期間)などを、神殿を建てることによって、それを中心として的に蕩減復させようとした。しかし、サウル王もやはりまた、不信にったので(サムエル上一五1123)、この理は成し遂げられずに、アブラハムのときと同じく、これらをからなる的蕩減復期間として復するため、統一王時代一二年、南北王朝分立時代四〇〇年、イスラエル民族の捕虜および還時代二一年、メシヤ降臨準備時代四〇〇年を立てて、初めてメシヤを迎えるようになったのである。
それゆえに、統一王時代は、モセが民族的カナン復のため、三次にわたって「信仰基台」を立てた一二年を蕩減復する期間であった。これを、もう少し具体的に調べてみることにしよう。モセを中心としたイスラエル民族が、エジプト苦役四〇〇年の「サタン分立基台」の上に立ったのちに、モセは、パロ宮中における四十年間に「信仰基台」を立てて、イスラエル選民を導いてカナンに入り、神殿を建てようとした。しかし、イスラエルの不信により、この路程は、モセのミデヤン荒野四十年、荒野流浪期間四十年に延長されたのである。これと同に、イスラエル民族が、士師時代四〇〇年で、エジプト苦役の四〇〇年を蕩減復した基台の上に立ったのち、サウル王がユダヤ民族の最初の王として即位し、彼の在位四十年で、モセのパロ宮中四十年を蕩減復することにより、「信仰基台」を立てて、神殿を建設しなければならなかったのである。しかし、サウル王の不信によって(サムエル上一五1123)、モセのときと同に、神殿建設の目的は、ダビデ王四十年、ソロモン王四十年に延長され、統一王時代一二年をつくるようになったのである。
そして、この時代は、象的同時性の時代のうち、アブラハムがハランの地を出たのち、ヤコブがエサウから長子の嗣業を奪うまでの一二年を、形象的な同時性として蕩減復する時代であった。したがって、あたかも、アブラハムの目的が、イサクをてヤコブのときに成し遂げられたように、サウル王の神殿理想も、ダビデ王をてソロモン王のときに、初めて成就されたのである。

(四)南北王朝分立時代四〇〇
サウル王は、その四十年の在位期間に、神殿建設の理想を成し遂げることによって、み言(石板)の復のための、モセの食四十日期間を的に蕩減復させようとしたのであった。しかし、彼の不信のゆえに、この期間を再び、からなる的蕩減期間として、復しなければならなかったのであるが、これがすなわち、統一王時代が、北朝イスラエルと南朝ユダに分立されたのち、ユダヤ民族がバビロンへ捕虜として捕らわれていくまでの、四〇〇年の南北王朝分立時代であったのである。
この時代は、象的同時性の時代のうち、ヤコブがエサウからパンとレンズ豆のあつもので、長子の嗣業を奪う件を立てたのち、再びイサクの祝福と、神の祝福を受けて(創二八13)、ハランの地に入るまでの四十年間を、形象的な同時性として蕩減復する時代であった。

(五)ユダヤ民族捕虜および還時代二一
北朝イスラエルが、彼らの不信により、アッシリヤへ捕虜として捕らわれたのち、南朝ユダもまた不信にったので、バビロニアの王ネブカデネザルによって捕虜として捕らえられた。このときから彼らは、バビロンで七十年間捕虜になっていたが、バビロニアがペルシャによって滅ぼされたのち、ペルシャ王クロスの詔書によって解放された。ユダヤ民族はその後、長い期間にわたってエルサレムへ還したが、ネヘミヤがりのユダヤ人を導いて帰国し城壁を再建したのち、彼らは預言者マラキを中心として彼の預言によって(マラキ四5)、メシヤを迎えるための準備期に入った。このときが、彼らがバビロンに捕らえられてから二一年目にたり、解放されはじめてから約一四年になるときであった。この時代を合して、ユダヤ民族の捕虜および還時代というのである。
サウル王は神殿理想を成就することによって、モセが、第一次にイスラエル民族を導いて、カナン復しようとした二十一日期間を的に蕩減復させようとした。しかるに、サウル王は、彼の不信によって失敗したので、再びこの期間を、からなる的蕩減期間として復するため立てたのが、ユダヤ民族捕虜および還時代の二一年であったのである。
そして、この時代は、象的同時性の時代のうち、ヤコブがイサクから長子の嗣業にする祝福を受けたのち、彼を殺そうとしたエサウを避けてハランの地に行って、サタンの側の人物であるラバンの要求により、レアを妻にめとるための七年間と、ラケルを妻にめとるための七年間、また、財物を得て、カナンにってくるまでの七年間を合わせた二十一年間(創三一41)を、形象的な同時性として、蕩減復する時代であったのである。

(六)メシヤ降臨準備時代四〇〇
ユダヤ民族が、バビロンで解放され、カナンの地に帰郷したのち、神殿と城壁を再建して、預言者マラキの預言により、メシヤを迎えるべき民族として立ってから、イエスが誕生なさるまでの四〇〇年期間を、メシヤ降臨準備時代というのである。
サウル王は、彼の神殿理想を完成して、モセを中心としたイスラエル民族が、第三次カナン復路程で費やした荒野四十年期間を、的に蕩減復させようとしたのである。しかし、サウル王の不信によって、これが失敗したので、再び、この期間をからなる的な蕩減期間として復するため立てたのが、メシヤ降臨準備時代の四〇〇年期間であった。
この時代は、象的同時性の時代のうち、ヤコブがハランの地からカナンへ復したのち、られていったヨセフを訪ねて、エジプトへ入るまでの四十年間を、形象的な同時性として、蕩減復する時代であったのである。

 

第四節 帰摂理延長時代を形成する各時代とその年

(一)ロマ帝迫害時代四〇〇
(二)教区長制キリスト教会時代四〇〇
(三)キリスト王時代一二
(四)東西王朝分立時代四〇〇
(五)法王捕虜および還時代二一
(六)メシヤ再降臨準備時代四〇〇

 

帰摂理延長時代は、形象的同時性の時代である復帰摂理時代を、体的な同時性として蕩減復する時代である。ゆえに、この時代においては、復帰摂理時代を形成する各時代と、その年を、そのまま蕩減復するようになるのである。

(一)ロマ帝迫害時代四〇〇
イエスは、信仰の祖であるアブラハムの目的を完成なさるためにられた方である。ゆえに、アブラハムが「象徴献祭」に失敗したことが原因となって成就できなかった「信仰基台」を、民族的に蕩減復するため、イスラエル民族にエジプト苦役四〇〇年のサタン分立期間があったように、ユダヤ民族が、イエスを生きた供え物としてささげる祭において、失敗したために成し遂げられなかった「信仰基台」を蕩減復するために、キリスト信徒たちにも、エジプト苦役時代のような時代がくるようになったのである。この時代がすなわち、ロマ帝迫害時代の四〇〇年であったのである。ロマ帝の過酷な迫害が終わって、コンスタンチヌス大帝がキリストを公認したのが西三一三年であり、テオドシウス一世がキリスト国教として定めたのが西三九二年であった。それゆえに、この時代は形象的同時性の時代のうち、イスラエル民族のエジプト苦役時代の四〇〇年を、体的な同時性として蕩減復する時代に相するのである。

(二)教区長制キリスト教会時代四〇〇
形象的同時性の時代である復帰摂理時代のうち、士師を中心としてイスラエル民族を導いてきた士師時代の四〇〇年があったので、体的同時性の時代である復帰摂理延長時代においても、この士師時代四〇〇年を蕩減復する時代がなければならない。これが、すなわち、キリストがロマ帝国教として公認されたのち、西〇〇年チャルズ大帝が即位するまでの、士師に該する教区長によって導かれた、教区長制キリスト教会時代四〇〇年期間なのである。ゆえに、この時代は形象的同時性の時代のうち、士師時代四〇〇年を体的な同時性として蕩減復する時代に相する。

(三)キリスト王時代一二
帰摂理時代において、イスラエル民族が、サウル王を中心として、初めて王を立てたのち、ダビデ王をてソロモン王に至るまで一二年間の統一王時代があった。したがって、この時代を蕩減復するために、西〇〇年チャルズ大帝が即位したのち、後日、彼の王統が絶えて、選王制となり、九一九年ヘンリ一世がドイツ王位につくまで一二年間にわたるキリスト王時代がくるようになったのである。ゆえに、この時代は形象的同時性の時代のうち、統一王時代の一二年を体的な同時性として、蕩減復する時代に相する。

(四)東西王朝分立時代四〇〇
帰摂理時代における統一王時代に、神殿が理のうちで建てられなかったので、この王が南朝と北朝に分裂され、四〇〇年間の南北王朝分立時代がくるようになった。ゆえに、帰摂理延長時代においても、この時代を蕩減復する時代がなければならない。これが、すなわち、キリスト王時代が過ぎたのち、西一三九年に、法王が南アヴィニョンへ移されるまでの、東西王朝分立時代四〇〇年であったのである。キリスト王が分裂した初は、東西フランクとイタリアの三王朝に分立されていたが、イタリアは、東フランクを承した神聖ロマ帝の支配のもとにあったので、事上、東西に分されたと同であった。ゆえに、この時代は形象的同時性の時代のうち、南北王朝分立時代の四〇〇年を、体的な同時性として蕩減復する時代にたるのである。

(五)法王捕虜および還時代二一
南北王朝分立時代において、北朝イスラエルは、偶像崇によりアッシリヤに滅ぼされ、南朝ユダも不信仰により神殿理想を再建できなかったので、彼らはサタン世界であるバビロンに捕虜として捕らえられるようになり、還して、再び神殿理想を立てるまで二一年かかったのである。したがって、この時代を蕩減復するために、東西王朝分立時代において、不信仰によりみ旨に反した法王クレメンス五世が、西一三九年に、ロマから南アヴィニョンへ法王を移したのち、法王が捕虜と同な生活をするようになり、その後、再びロマへったのち、一五一七年宗改革が起こるまで、約二一年間にわたる法王捕虜および還時代が生ずるようになった。ゆえに、この時代は形象的同時性の時代のうち、ユダヤ民族捕虜および還時代の二一年を体的な同時性として蕩減復する時代に相するのである。

(六)メシヤ再降臨準備時代四〇〇
バビロンの捕虜から解放されて、エルサレムに還したユダヤ民族が、預言者マラキを中心として政の刷新を起こし、彼の預言により(マラキ四5)、メシヤを迎えるための準€備を始めてから、メシヤ降臨準備時代四〇〇年を過ぎたのちイエスを迎えた。それゆえに、この時代を蕩減復するため、復帰摂理延長時代においても、南アヴィニョンに幽閉された法王がロマに還したのち、西一五一七年、ルタを中心とする宗改革が起こったときから、四〇〇年を過ぎて、初めて、再臨主を迎えることができるのである。ゆえに、この時代が、すなわち、メシヤ再降臨準備時代なのである。したがって、この時代は形象的同時性の時代のうち、メシヤ降臨準備時代四〇〇年を、体的な同時性として蕩減復する時代にたる。